佐谷和彦と佐谷画廊

佐谷和彦は1928年(昭和三年)に生まれ、2008年(平成二十年)に80歳でなくなりました。45歳のときにそれまで務めていた銀行を辞めて、当時日本を代表する現代美術の画廊であった南画廊志水楠男氏に専務取締役として迎えられます。当時の銀行勤めほど安定した職業はありませんでしたが、妻祗子(ていこ)の理解・後押しもあり、周囲の反対を押し切っての一大決心でした。南画廊ではもっぱら財務面での役割を期待されていましたが、これに満足することなく自身の画廊を始めたのは50歳のときでした。以後27年間にわたり164回の企画展覧会、149本のエッセイ執筆と7冊の著書、数十回に及ぶアートマネジメントの講義など旺盛な活動意欲は晩年に至るまで続きます。